モーゼルのこの作品は、ウラジミール・スカラにより制作された彫刻作品の逸品で、彫刻の熟練度を余すところ無く表現しています。モーゼル社の優れた彫刻家の一人であるスカラは、サンドロ・ボッティチェリ(1445-1510)の絵画に触発されました。絵画の遠景はナポリ湾を表現しており、ケンタウロスはフローレンスを守る為に戦に用いる斧と矛を持ったローマとアテネを象徴しています。更に倫理学的な説明を加えれば、この絵画は無知を超越する英知の勝利を表現しています。パラス(アテナ神)は、全能のギリシャ神ゼウスの娘で、"戦い神"であった故に甲冑を身に付け、剣を持った姿がしばしば描かれ、同時に知恵・芸術・学芸の擁護者でもあったのです。彼女はアテネの民衆に聖なる樹-オリーブを与えたのでした.アテナ神は美しく英知に富んだ、先見の明があり同時に思慮深く才気に富む勇敢な処女神でもありました。サンドロ・ボッティチェリ(本名:アレッサンドロ・ディ・マリアーノ・フィリペェペィ)は、フローレンスのメディチ家お抱えのイタリアルネッサンスの画家であると同時に神話や寓話の作家でもありました。彼の作品は素描や理想的な容姿を強調し、それが後世美的な真剣さと表現に変質していくのです。

<マスターエングレーヴァー>
ウラジミール・スカラ(Vladimir Skala)
