森と湖の国チェコの伝統的な工芸品であるボヘミアガラス。その中の一つの種類として、華やかな独特の色彩を持つガラスに卓越した彫刻技術で装飾を施した「エーゲルマンガラス」は1832年ノビボール地方のガラス職人B・フリードリッヒ・エーゲルマンによって完成されました。
当時、赤いガラスは万病を治す魔法の力を持っていると信じられており、バロック時代の錬金術師をはじめ、一般の人々にも大変人気がありました。当然研究熱心なエーゲルマンも表面を薄赤色に焼き上げる独自の方法の研究・開発を行いましたが、上塗りによる黄色やルビー色をガラスの表面に出すため、非常に苦労を味わい、実に16年もの歳月を費やしました。
そのためかその製法は一時期ボヘミア全体のたったひとつの工房だけの秘密になっていましたが、現在ではその秘密は『ガラスを塩化第二銅でコートし、ガラスの表面の顕微鏡的薄さの層が着色されガラス全体が色づいて見えるようになるまで、一定の方法で数回焼きを入れる』と解明されています。
赤いガラスの着色剤として使われていた金・銅・セレンなどを使わずに開発した"赤いグラス"は彼の名前をとって「エーゲルマンガラス」と呼ばれ、1864年1月1日にエーゲルマンが86歳で亡くなった後も、後世に伝えられ、第一次世界大戦後にはチェコのガラス産業を再生させる原動力ともなりました。エーゲルマンガラスは彼の精神と共にボヘミアの古典的な工芸品として、現代も世界中の人々から愛されています。
1. 塩化銀、又は塩化第二銅に他の材料を混合した溶剤をガラスの表面にコーティング。
2. 数回焼付け。加熱することで溶剤とガラスの表面との間に化学反応をおこし、ガラスの表面を暗赤色へと変化させる。
3. 粗削り・ブラッシング後、表面にロココ風のオーナメント、城の絵、ハンティングシーンや草花をモチーフにしたデザインを彫刻。